PAKKERINO///2017/08『物語の量り売り』


……裏庭に白猫がいるよ、とマトリョーシカの娘さんが鳥の巣頭を呼びに来ました。

鳥の巣頭と娘さんが連れ立って、窓辺に向かうと、そこにはすでにチョコレートの好きなテントウムシと小柄な茶色のくまが、窓ガラスにほっぺたをおしつけるようにして、窓の外を眺めていました。

……ゆきしろの猫だ、と小柄な茶色のくまが教えてくれます。……なんていう名前?と、チョコレートの好きなテントウムシがたずねます。……どうかしら?と、マトリョーシカの娘さんは思いをめぐらします。

……あの猫はきっと“しらたま”というんだね、と鳥の巣頭は言いました。……しらたまは、他にもいろいろな名前を持っている。“おさとう”とか“こむぎこ”とか、いろんな白いもの。しらたまは、たくさんの名前を使い分けて、その名前ごとの暮らしを持っているんだ。そして、それを楽しんでいるんだよ。……ふうん、とチョコレートの好きなテントウムシが言いました。……ここでは、しらたま。

……ほんとうのことは、あのこに聞かなくちゃわからないわ、とマトリョーシカの娘さんはつぶやきます。……でも、あのこも、その物語を気にいるかもしれないわね。

ゆきしろの猫“しらたま”は、裏庭の林檎の木の下でねそべったり、小さな手で草の穂をはたいたりしています。

この一匹の迷い猫が現れて、ちいさな物語が生まれました。その物語は≪17匹の物語≫というシリーズが誕生するきっかけとなったのです。ひとつまみの想像力は、パンにもケーキにもなる物語を生むタネになるのです。

8月のパケリは≪物語の量り売り≫。庭屋敷町で生まれた物語を背景にした特別なマトmemepが登場します。