PAKKERINO///2017/05 『緑の風が吹くころ』

一日いちにちと庭屋敷町の新緑は鮮やかになっていく。マトリョーシカの娘さんたちはお弁当をつくって森に出かけ、明るい木陰で時を過ごすことが多くなる。……あの声はなんの鳥だろう……あのきのこは?食べられるかな……ほら!あの雲を見て!むくれためぴかちゃんみたい……黒雲なの?嵐が来る?たいへん!……そうやって、雷鳴に追われるように森から走り出て、家に飛び込んだらどしゃぶりの雨。その一粒は苺くらいある。……お茶にしましょう。だれともなく言いだして、ピクニックのバスケットはすでに空っぽだけれど、くいしんぼうのマトリョーシカの娘さんたちのこと、おやつのケーキは戸棚にかくしてあって、いそいそとお茶会の仕度ははじまる。しゅんしゅんとお湯が沸いて、湯気が台所をいっぱいにする頃には、窓の外が明るくなっていて、ケーキを切り分けていた娘さんが叫ぶ。……あ!虹よ。マトリョーシカの娘さんたちは窓辺にひしめいて、空のキャンバスを見る。偶然、そこを通りかかったPAKERIの小柄な茶色のくまは、窓にぴったりはりついたマトリョーシカの娘さんたちに気づいて、その10の目が見つめるもの、方向をたどって、やっぱり棒立ちになる。ふわふわした炒り卵みたいなモッコウバラを揺らして、緑の風が吹いてきて、おっとりした春を遠くへ運び去り、庭屋敷町を初夏の空気に入れかえる。5月のPAKERIは『柏餅さん』など、季節のお菓子をいただくmato、初夏の緑をまとった『庭屋敷さん(晴曜日/雨曜日/雷鳴日)』たち、花かんむりをかぶった『水玉さん』、鳥の巣頭の描く物語『終わらない王国』が登場します。