PAKKERINO///2017/03 『モケとマトの春曜日』


裁縫箱には、何が入っていますか。庭屋敷町の娘さんたちがもっている裁縫箱の中には、お針、はさみ、針山猫のピンクッション、そして、モケ箱が入っています。
それは小さなチョコレートの缶だったり、マフィンの紙型だったり、形は様々。モケを集める入れ物なのです。
モケとは、色糸のこと。刺繍糸や毛糸の半端糸、縒りをほどいたレース糸などがそう。それらの糸をモケ箱に入れておきます。モケが十分に集まると、娘さんたちはモケ刺繍をはじめます。集まったモケを布に縫いとめていく刺繍です。モケを布の上に広げて、ちくちく、ちくちく。色の足らない部分に刺繍糸をほぐしてのせてみたり、風合いのゆたかな毛糸をまぜてみたり、あるいはアクセントに、こまかなステッチをほどこしたり、ビーズを縫いつけてみたり。まるで絵を描くような刺繍です。気の向くまま、自由な心で。
3月のPAKERIは『モケとマトの春曜日』。分厚いコートをぬいで、春の装いをはじめる胸元には春風のようにかろやかなモケ刺繍のブローチがぴったりです。“針山猫PUKU”の春柄や、春の花にちなんだマトリョーシカの娘さんたちが登場します。