リンデン・ロードの読書会。


庭屋敷町という町の名前は、
かつてこの町があるお屋敷づきの庭だったことに由来しています。
その屋敷の持ち主はすでにこの世になく、どんな人だったのかもわかりません。

ですが、その人はたいへんな読書家でした。
お屋敷の中は本がいっぱい。
本の煉瓦と本棚の柱で建てられたようなお屋敷です。

屋敷のぐるりをヒノキが囲んでいることもあり、
“ヒノキ屋敷”と呼ばれていたその家は、今は庭屋敷町の図書館になっています。

おや、図書館のあるユリノキ通り(PAKERIのある通りです!)を、
本を手にしたふたりのくまが歩いてきました。




真珠のネックレスをかけているのはパール夫人。おとなりはミトン嬢。
庭屋敷町にあまた存在する読書会グループの、リンデン・ロード支部のメンバーです。


――大晦日の、年越し薪朗読会のことですけれどね、あなた。防寒対策は……。
と、パール夫人。
――手配はすんでおりますわ。
と、ミトン嬢。


――新年の読書会ですけれどね、あなた。お茶とケーキの当番は……。
と、パール夫人。
――ぬかりはありませんわ。
と、ミトン嬢。


――年間の読書計画表の提出ですけれどね、あなた。締切日は……。
と、パール夫人。
――万事にぬかりは、ありませんわ。
と、ミトン嬢。

ふたりはいつものように、愉しくおしゃべりしながら、
通りをしずしずと歩いていきました。