4.紅茶茶碗町の11時5分の屋根飾り。


鳥の巣頭のmemeとカシパンの骨をのせた北風は、ある森にやってきました。森の中には、小さな町があります。その町は、紅茶茶碗町。ティーカップの中におさまるくらいの、小さな町です。

町には、チョコレートが好きなテントウムシと、こがらな茶色のくまが暮らしていました。

ふたりが住んでいる家は、ろうそくのような形をしています。そして、鉛筆のようにとがった屋根のてっぺんには、テントウムシの触角のようなオブジェがかざられていました。時計の針が、115分をさす角度にひらいた、2本のマッチ棒のようにも見えます。

朝から、風がふきあれている1日でした。

チョコレートが好きなテントウムシは、ココアを飲みながら窓の外を眺めていました。こがらな茶色のくまは、もし家の屋根がとばされたらどうしようか、窓がふきとばされたらどうしようか、色々と知恵をめぐらせていました。テントウムシはのんきで、くまは用心深いいきものなのです。

それが起こったのは、ちょうど3時でした。

チョコレートの好きなテントウムシと、こがらな茶色のくまは、台所のテーブルでおやつを食べていました。くるみ入りのブラウニーです。くまというものは、ブラウニーを焼くのが上手なのです。一族ごとに、秘伝のレシピを持っているくらいです。

家が、大きく揺れました。まるで、家が洗濯機の中に落っこちてしまったかのようです。ぐるぐると、何かが家の周りをまわっていて、そのせいで家がゆれているのです。テントウムシとくまは、ひどいめまいを覚えました。

いったい、何が起こっていたのでしょう。実は、あの北風が、ふたりの家の周りで追いかけっこをしていたのです。ですから、渦巻き状に家は揺れ、ふたりを酔わせていたのでした。

けれども、風はきまぐれです。特に北風は飽きっぽい性格でした。ですから追いかけっこはすぐに終わり、家の揺れもおさまりました。こがらな茶色のくまは台所を出て、屋根や壁が壊れていないか確かめに表に出ました。チョコレートの好きなテントウムシは、おかわりの一切れをきりとるため、ケーキナイフを取りに台所へ向かいます。

こがらな茶色のくまは、あちこちに目をくばりながら、家のまわりをゆっくりとあるきました。どうやら、無事なようです。最後に屋根を見あげると、屋根飾りにくしゃくしゃとした奇妙なものがからまっているのが見えました。