3.老賢者の海の骨。


風にとばされた鳥の巣頭のmemeは、時にはころころと地面をころがり、時には風の指先にからまって宙を舞い、遠くの土地へと運ばれて行きました。ヤドリギにとって幸いなことに、こういう旅の仕方で目をまわしたり、酔ったりすることはありませんでした。風の旅は、ヤドリギに向いているのです。

カシパンの骨に出会ったのは、ある海辺でした。

カシパンというのは、平たいウニです。そのウニの骨ですから、やっぱり平たいかたちをしています。白くて丸く、中央に星模様の穴がある骨です。カシパンの骨は波に打ち上げられ、砂が波に残したレース模様のきわで、その縁飾りのように見えました。

カシパンの骨は(なにしろ骨ですから)中身が空っぽです。そして、骨というものは、物事をシンプルに考えます。物思いにふけりがちだったカシパンも、骨になってしまえば竹を割ったような性格になります。くよくよしがちなカシパンも、骨になってしまえばあっけらかんとします。

鳥の巣頭のmemeが出会った、カシパンは、元々口数の少ない穏やかなカシパンだったのですが、骨になるとまるで老賢者のようになりました。海辺の者たち――ナミマガシワの貝殻や、オニグルミの殻などといった、終りをむかえた者たちの相談にのるのが、このカシパンの骨の毎日でした。

口癖は「ドゥークス!」。(おやりなさい)とか(そうなさい)といった、背中を押す力強い言葉です。

鳥の巣頭のmemeは砂浜をころがっていました。そして、あの老賢者のカシパンの骨の真上を通り、鳥の巣頭のmemeの髪の毛はくしゃくしゃにからまりあっているものですから、カシパンの骨をからめとってしまいました。

こうして、鳥の巣頭のmemeとカシパンの骨は一緒に旅をすることになったのです。